監修:行政書士 渡邉徳人(行政書士事務所WITHNESS 代表・熊本県行政書士会 第05430405号)最終更新日:
建設会社に勤めている方が独立して、いずれ建設業許可を取りたい。そう考えたときに大切なのは、独立する前から、5年後の許可申請を見すえて準備しておくことです。建設業許可は、思い立ってすぐに取れるものではありません。特に、経営業務の管理責任者に必要な「5年の経営経験」は、あとから作ることができないからです。
このページでは、勤めている間にしておきたいこと、独立してから5年間に気をつけること、許可に必要なお金の準備を、順を追って解説します。
独立から許可取得までの流れ
- 勤めている間に
資格を取る。会社とよい関係を保つ。
- 独立する
個人事業の開業届を出し、毎年確定申告をする。または会社を作る。
- 5年間、経営経験と工事の実績を積む
確定申告書と、工事の請求書を毎年きちんと残す。
- 許可を申請する
経営経験5年・技術者・財産的基礎などの要件をそろえて申請する。
1. 勤めている間に資格を取る
建設業許可には、業種ごとに「営業所技術者」が必要です。営業所技術者の要件を満たす国家資格を持っていない場合は、勤めている間に取っておくのがおすすめです。独立すると、忙しくて勉強の時間が取れないことが多いからです。
たとえば2級土木施工管理技士があれば、土木・とび土工・舗装など、いくつもの業種で技術者の要件を満たせます。資格がなくても、1業種につき10年の実務経験で技術者になれますが、経験は期間を重ねて数えられないので、いくつもの業種を取るのは難しくなります。
どの資格でどの業種が取れるかは、取れる業種の診断で確かめられます。
2. 今の会社とよい関係のまま独立する
ただ辞めるのではなく、雇い主とよい関係を保ったまま、独立について相談していきましょう。
- 独立した後も、下請として仕事を出してもらえることがあり、最初の仕事の基盤になります
- 資格がなく実務経験で営業所技術者になる場合は、今の会社に実務経験の証明をお願いすることになります(実務経験証明書の記入例)
間違っても、けんか別れはしないようにしましょう。
3. 5年間の経営経験を積む
経営業務の管理責任者には、5年以上の建設業の経営経験が必要です。個人事業主として独立した場合は、独立した年からの確定申告書で、その年数を証明します。
- 売上がなく、確定申告をしなかった年は、経営経験として数えられません
- 途中で会社を作った場合は、個人事業の期間と会社の役員の期間を合わせて数えられます
- 今の会社で、役員ではなくても役員に次ぐ立場(執行役員など)で経営の権限を任されていた期間が認められる場合があります。この場合は、前の会社の協力で書類をそろえる必要があります(経営業務の管理責任者に準ずる地位とは)
許可を取って営業したいなら、なるべく早く独立して、経営経験を積み始めることが大切です。会社を作るかどうかの考え方は建設業許可は個人と法人どちらで取る?をご覧ください。
4. 工事の実績を書類で残す
5年の経営経験は、書類で証明できて初めて認められます。独立したら、工事を請け負うたびに、契約書や請求書を必ず残しておきましょう。
- 確定申告書
- 5年分の第一表(1年1枚、合計5枚)税務署に提出した控えを、毎年なくさずに保管します。
- 請求書
- 1年に1枚、合計6枚工事名が入っていて、請負であることがわかるもの。月をそろえて1年に1枚ずつ用意します(例:2021年1月〜2026年1月の各1月で6枚)。5枚では満4年しか示せないため、6枚必要です。
「人工(にんく)」の請求書は、経営経験の証明に使えません
常用・応援・手伝いといった人工の請求書は、人を出しただけで工事を請け負ったものではないため、使えません。独立したら、工事名が入った「請負」の請求書を出すようにしましょう。
請求書は、確定申告をした期間に対応するものが必要です。証明方法のくわしい内容は経営業務の管理責任者の要件と証明書類をご覧ください。
5. 罰金刑・拘禁刑に気をつける
許可を取る前でも、次のような刑を受けると、一定の期間は許可を受けられなくなります(建設業法第8条)。
- 建設業法などの違反で罰金刑を受けた5年間、許可を受けられない刑の執行が終わってから5年間です。無許可で500万円以上の工事を請け負った場合なども含まれます。
- 傷害・暴行・脅迫などで罰金刑を受けた5年間、許可を受けられない刑の執行が終わってから5年間です。現場や、お酒の席でのけんかが傷害事件になってしまうケースもあります。
- 拘禁刑以上の刑を受けた5年間、許可を受けられないどんな犯罪でも対象で、刑の執行が終わってから5年間です。
申請のときには、必ず確認されます。独立して許可を取るまでの間は、特に気をつけましょう。欠格要件の全体は建設業許可要件【詳細】で確かめられます。
6. 500万円を準備する
一般建設業の許可には、自己資本が500万円以上あるか、500万円以上の資金を用意できることが必要です(財産的基礎)。独立までの間に、500万円の貯金を目標にしましょう。5年で500万円なら、1年に100万円、1か月に8万円ほどです。
- 申請の直前に、金融機関で「500万円以上の残高証明書」を取って、資金を用意できることを示す方法もあります。残高証明書は銀行などの金融機関が発行する正式な書類で、通帳のコピーでは認められません
- 自分の預金だけで足りない場合は、借入れでそろえた資金でも、残高証明書の時点で500万円以上あれば認められます。ただし、借入れは返済しなければならないので、無理のない計画を立てましょう
500万円は、許可のためだけでなく、独立したばかりの時期の運転資金としても役立ちます。
独立して許可を取りたい方へ
- 独立する前のご相談も歓迎です。今の資格や経験で、どの業種がいつ取れるか、5年後に向けて何を残しておけばよいかを一緒に確かめます。
- 建設業許可要件【詳細】:許可を取るための6つの要件
- 建設業許可の必要書類:申請のときに必要な書類
- お電話でのご相談:096-283-6000(ご相談・要件チェックは無料)



