監修:行政書士 渡邉徳人(行政書士事務所WITHNESS 代表・熊本県行政書士会 第05430405号)最終更新日:
労災保険は、仕事中や通勤途中のけが・病気・死亡に対して補償を行う国の保険です。労働者を1人でも雇えば加入が必要で、保険料は全額を事業主が負担します。
建設業の労災保険には、ほかの業種と違う大きな特徴があります。工事現場の労災保険は、元請が、下請の労働者の分までまとめて加入することです。このページでは、建設業の労災保険のしくみと、事業主や一人親方が入る「特別加入」、建設業許可との関係を解説します。
建設業の労災保険は「現場」と「事務所」に分かれる
- 現場の労災
- 工事ごとに、元請がまとめて加入するその工事にかかわる下請の労働者も含めて、元請の労災保険で補償します(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第8条)。下請の会社は、現場で働く自社の労働者の分を、自分で入る必要はありません。
- 事務所の労災
- 会社ごとに、自社で加入する事務所で働く事務員や営業の社員など、現場以外で働く人の分です。下請工事だけをしている会社でも、事務所の労働者がいれば加入します。
現場の労災保険は、元請が工事の請負金額をもとに保険料を計算して納めます。小規模な工事のたびに手続きをするのは大変なため、一定の規模までの工事は、1年分をまとめて手続きする「一括有期事業」というしくみがあります。
- 一括有期事業の対象は?1件の請負金額が1億8,000万円未満(税抜)で、概算保険料が160万円未満の元請工事対象の工事は、年に1回の年度更新のときに、まとめて申告・納付します。大きな工事は、工事ごとに保険関係を成立させて手続きをします。
事業主・役員・一人親方は「特別加入」で備える
労災保険は労働者のための保険なので、事業主や会社の役員、一人親方は、そのままでは補償を受けられません。元請の現場の労災保険も、下請の事業主本人には適用されません。現場で作業をする事業主や一人親方は、「特別加入」で備えます。
- 一人親方
- 一人親方の特別加入労働者を雇っていない一人親方(労働者を雇う日が年100日未満の人を含む)が、特別加入団体を通じて加入します。多くの元請が、現場に入る条件として特別加入を求めています(一人親方とは?)。
- 中小事業主
- 中小事業主等の特別加入労働者を雇っている中小の事業主や、その家族従事者・役員が、労働保険事務組合を通じて加入します。現場で一緒に作業をする社長や役員は、加入しておくと安心です。
建設業許可との関係
建設業は、労災保険と雇用保険を別々に手続きする「二元適用事業」です。労働保険番号も、労災保険と雇用保険で別々に付きます。
- 建設業許可の要件になっているのは?雇用保険(と、健康保険・厚生年金保険)の加入許可の申請では、労働者を雇っている場合に雇用保険の加入を、労働保険の申告書と領収書で確かめます。熊本県の建設業の場合、雇用保険の分の労働保険番号は「433」から始まります(社会保険加入について)。
- 労災保険は許可に関係ない?許可の要件ではないが、加入は法律上の義務労働者を雇っているのに労災保険の手続きをしていないと、事故が起きたときに、さかのぼって保険料を納めるだけでなく、給付にかかった費用の一部を請求されることがあります。
労災事故が起きたときの注意
- 現場で下請の労働者がけがをした場合も、元請の労災保険を使います。元請に必ず報告しましょう
- 労災を隠して健康保険で治療を受けたり、事故を報告しなかったりする「労災かくし」は、犯罪になります
- 労働者が休業した場合などは、労働基準監督署に「労働者死傷病報告」を提出する必要があります
建設業の保険や許可でお困りの方へ
- 労災保険・雇用保険の手続きは、信頼できる社会保険労務士をご紹介します。建設業許可の要件としての保険の加入状況の確認は、当事務所が行います。
- 社会保険加入について:許可の要件と確認される書類
- 一人親方とは?:一人親方の保険と許可
- お電話でのご相談:096-283-6000(ご相談は無料)



