監修:行政書士 渡邉徳人(行政書士事務所WITHNESS 代表・熊本県行政書士会 第05430405号)最終更新日:
建設業許可を持つ業者は、請け負った工事を施工するとき、元請・下請や金額の大小にかかわらず、工事現場に技術者を置かなければなりません(建設業法第26条)。置く技術者は、工事の立場や金額によって「主任技術者」か「監理技術者」になり、一定の金額以上の工事では、その現場に専任で置く必要があります。
このページでは、どんな工事にどの技術者を置くのか、だれがなれるのか、専任と兼任の決まり、現場代理人との違いを解説します。金額は令和7年2月1日からのものです。
どの技術者を置く?早見表
- 元請で、下請に出す合計が5,000万円未満(建築一式は8,000万円未満)主任技術者
- 元請で、下請に出す合計が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)監理技術者この規模の工事を元請で請けるには、特定建設業の許可が必要です。
- 下請(金額にかかわらず)主任技術者
金額はいずれも税込です。下請として請け負った工事では、さらに下に出す金額がいくら大きくても、監理技術者ではなく主任技術者を置きます。
主任技術者
- 置く工事
- 許可業者が施工するすべての工事元請・下請、金額の大小を問いません。500万円未満の小さな工事でも必要です。
- 役割
- 現場の施工の技術上の管理施工計画の作成、工程・品質・安全の管理、現場で働く人への技術的な指導などを行います。
- なれる人
- 一般建設業の営業所技術者の要件を満たす人その工事の業種の国家資格者、指定学科卒業と実務経験のある人、10年以上の実務経験のある人などです(営業所技術者(旧:専任技術者)の要件)。
- 雇用関係
- 自社と直接・継続的な雇用関係にある人ほかの会社からの出向や派遣、その工事のためだけに雇った人は認められません。公共工事では、入札の申込日の前に3か月以上の雇用関係が求められます。
許可を受けた業種の工事に付いてくる別の業種の工事(附帯工事)を自社で施工する場合も、その業種の主任技術者と同じ要件の人を置くか、その業種の許可業者に下請に出す必要があります(建設業法第26条の2)。
監理技術者
- 置く工事
- 元請として、下請に出す合計が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)の工事この規模の工事を元請で請けるには、特定建設業の許可が必要です。
- 役割
- 主任技術者の役割に加えて、下請業者の指導・監督多くの下請業者がかかわる大きな工事で、現場全体の施工を管理します。
- なれる人
- 特定建設業の営業所技術者の要件を満たす人1級の国家資格者などです。土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種(指定建設業)は、1級の国家資格者などに限られます。
- 資格者証・講習
- 専任で置く場合は、監理技術者資格者証と講習の受講が必要発注者から求められたら、資格者証を見せなければなりません(建設業法第26条第5項・第6項)。
現場に「専任」で置く工事
次の両方に当てはまる工事では、主任技術者・監理技術者を、その現場に専任で置かなければなりません(建設業法第26条第3項・施行令第27条)。専任とは、原則としてほかの工事現場や営業所の仕事と兼ねられないということです。
- 請負金額工事1件が税込4,500万円以上(建築一式は9,000万円以上)元請・下請を問いません。下請工事でも、自社が請け負った金額で判断します。
- 工事の対象公共性のある施設や、多くの人が利用する施設の工事国・自治体が発注する工事のほか、学校・病院・事務所・店舗・工場・倉庫・共同住宅・ホテルなど、幅広い建物が対象です。個人の住宅(戸建て)は対象外です。
実際には、個人の住宅以外で4,500万円以上の工事は、ほとんどが専任の対象になると考えておくとよいでしょう。
専任でも兼任できる場合(令和6年12月から)
人手不足への対策として、令和6年12月から、専任が必要な工事でも、条件を満たせば技術者が兼任できるようになりました。
- 2つの現場の兼任
- 請負金額1億円未満(建築一式は2億円未満)の工事なら、1人の技術者が2つの現場まで兼任できる現場どうしの移動がおおむね2時間以内、下請は3次まで、現場に連絡員を置く、情報通信機器で現場の状況を確認できる、人員の配置計画書を作って保存する、などの条件があります(施行規則第17条の2)。
- 営業所と兼任
- 同じ金額の範囲で、営業所技術者が1つの現場の技術者を兼ねられるその営業所で契約した工事であること、営業所と現場の移動がおおむね2時間以内であることなどが条件です(建設業法第26条の5)。
- 監理技術者補佐
- 現場に「監理技術者補佐」を専任で置けば、監理技術者は2つの現場まで兼任できる監理技術者補佐になれるのは、1級の技士補(1級の第一次検定の合格者)で主任技術者の要件を満たす人や、1級の国家資格者などです。
専任が要らない工事(4,500万円未満の工事や、個人の住宅の工事など)は、もともと兼任の制限はありません。営業所の近くで、営業所と常に連絡が取れるなどの条件を満たせば、営業所技術者が主任技術者を兼ねることも認められています。兼任の条件は細かいので、実際に兼任させる場合は、事前に確認しておきましょう。
鉄筋・型枠工事の特例(特定専門工事)
鉄筋工事と、型枠の組み立ての工事は、下請に出す金額の合計が4,500万円未満であれば、元請の主任技術者が、下請の主任技術者の役割もあわせて行うことができます(建設業法第26条の3・施行令第31条)。この場合、下請は主任技術者を置かなくてかまいません。
ただし、元請と下請の書面での合意と、注文者の書面での承諾が必要です。また、元請の主任技術者は、同じ種類の工事で1年以上の指導監督的な実務経験があり、その現場に専任で置かれる必要があります。下請は、その工事をさらに下に出すことはできません。
現場代理人との違い
施工の技術面を管理する人
- 建設業法で置くことが決められている
- 資格や実務経験などの要件がある
- 自社と直接・継続的な雇用関係が必要
請負人の代わりに現場を運営する人
- 工事の契約にもとづいて置く(公共工事の契約書などで決められている)
- 資格の要件はない
- 現場の運営や取り締まり、契約に関する権限を持つ
主任技術者・監理技術者と現場代理人は、同じ人が兼ねることができます。公共工事では、現場代理人は原則として現場に常駐することが求められますが、発注者が認めれば緩和される場合もあります。
許可申請・事業年度終了届との関係
毎年の事業年度終了届や新規の申請で出す工事経歴書には、工事ごとに「配置技術者」の氏名を書く欄があります。書き方は工事経歴書の記載方法をご覧ください。
また、営業所技術者は、原則としてその営業所に常勤する人なので、専任が必要な現場の技術者には、上の兼任の特例に当てはまる場合を除いてなれません。工事が増えてきたら、営業所技術者とは別に、現場に出られる有資格者を確保しておくことが大切です。
技術者の配置でお困りの方へ
- どの工事にだれを置けるか、兼任の特例が使えるか、特定建設業の許可が必要かなどを、工事の内容をうかがって一緒に確かめます。
- 営業所技術者(旧:専任技術者)の要件:主任技術者になれる人の要件
- 建設業許可要件【詳細】:一般建設業と特定建設業の違い
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