法人の場合の経営業務管理責任者(経管)の要件は役員経験がある者とされ、謄本で役員の任期を証明することになりますが、実際登記はされていないが実質的に役員に次ぐ立場にある者でも経管の要件を満たせることがあります。
事例
経営業務管理責任者(経管)の略歴
会社を建て直すために入社し、入社当時から建設工事の施工に必要な資金調達、技術者の配置、工事契約の締結等、経営全てにおいて携わっており、1年後に取締役となり、更に1年後に代表取締役となった。
取締役として登記された期間は4年間。
履歴事項証明書で確認できる期間は4年間なので、最低でもトータル5年の任期が確認できなければ申請はできないところです。(実際に他社へ確認したところ断られたそうです)
ですが、内容を詳しく確認してみると、入社当時から経営に携わっており統括部長という役職に就いておられました。
この場合、「経営業務を補佐した経験」ということで、その他の添付書類を用意することができれば、建設業許可申請が可能になります。
こういうケースでの申請は県庁での事前相談が必要になりますので申請前に経歴や揃う書類の確認に行くことをお勧めします。もちろん行政書士に依頼すれば、行政書士が県庁とのこうした折衝も行います。
今回必要だった証明書類
まず、役員の期間が確認できる登記簿謄本(履歴事項証明書)は必ず必要となります。
次に役員補佐をしていたことがわかる辞令書と組織図を求められましたが、辞令は書面として残していたわけではなかったので、それに変わる証明書を会社側に作成して頂きました。
組織図は社内での位置関係がわかるものとなります。
併せてその期間常勤だったことがわかる社会保険証と社保加入前の分の源泉徴収票が必要でした。
これで役員経験の証明はできます。
経管の証明は役員をしていた期間の実績も証明しなければなりませんので、6年分の請求書を準備しました。(※補佐経験は執行役員とは違い、最低6年分の実績証明が必要になります。)
許可を取りたい業種と補佐経験の業種は同じであることと、申請できる業種は1業種のみとなります。
多数の業種で経験があったとしても、その中でメインの1業種でしか申請できませんのでここは重要なところです。
今回は法人で過去の書類もきちんと整理されているところだったので、求められる書類は簡単に揃いましたが、補佐経験で申請するケースは非常に稀で、対応できる行政書士ばかりではありません。
又、県庁でもきちんと書類が揃わないと受付けてもらえません。
個人申請の場合でも要件さえ満たされていれば補佐経験で申請できる場合はありますので、経管の経験年数が足りずに困っている方は複数の専門家に相談されることをお勧めします。