監修:行政書士 渡邉徳人(行政書士事務所WITHNESS 代表・熊本県行政書士会 第05430405号)最終更新日:
建設業許可の新規申請や更新、毎年の事業年度終了届、経営事項審査では、建設業法で決められた様式の「財務諸表」を提出します。税理士が作る決算書(法人の確定申告の決算書、個人の青色申告決算書・収支内訳書)をそのまま出すのではなく、建設業用の勘定科目に組み替えて作り直す必要があります。
このページでは、法人と個人で必要な書類、主な勘定科目の組み替え方、間違えやすい点を解説します。
作成する書類
- 法人
- 貸借対照表、損益計算書(完成工事原価報告書を含む)、株主資本等変動計算書、注記表資本金が1億円を超えるなど、一定の規模以上の株式会社は、附属明細表も作ります。株式会社(特例有限会社を除く)は、事業年度終了届に事業報告書も添付します。
- 個人
- 貸借対照表、損益計算書個人の貸借対照表には、「事業主借」「事業主貸」「事業主利益」など、個人ならではの科目があります。
- 金額の単位
- 千円単位千円未満の端数は、切り捨て・切り上げ・四捨五入のどれかに決めて、すべての科目でそろえます。合計が合わなくなったときは、端数の調整が必要です。
様式(Excel)と記載要領は、熊本県のホームページからダウンロードできます(熊本県:建設業許可の申請書等について)。ほかの申請書類の一覧は建設業許可申請書の様式一覧(熊本県)をご覧ください。
主な勘定科目の組み替え
建設業の財務諸表では、一般の簿記とは違う、建設業ならではの勘定科目を使います。建設業だけを営んでいる会社なら、おおむね次のように置き換えます。
- 売上高
- → 完成工事高決算期のうちに完成・引き渡した工事の売上です。工事経歴書や「直前3年の各事業年度における工事施工金額」の合計と一致させます。
- 売上原価
- → 完成工事原価材料費・労務費・外注費・経費に分けた「完成工事原価報告書」を作ります。
- 売掛金
- → 完成工事未収入金
- 買掛金
- → 工事未払金
- 仕掛品
- → 未成工事支出金決算期の終わりにまだ完成していない工事にかかった費用です。
- 前受金
- → 未成工事受入金まだ完成していない工事について、先に受け取った代金です。
同じ名前の科目でも、中身を確かめずに金額を写すだけでは正しい財務諸表になりません。決算書の科目に入っている金額が、建設業の財務諸表ではどの科目に当たるのかを、元帳などで一つずつ確かめて振り分けます。科目の分類は、国の告示(昭和57年建設省告示第1660号「勘定科目の分類」)で決められています。
間違えやすい点
- 工事原価がゼロになっている工事をしているなら、工事原価を計上する税務上は、工事にかかった費用をすべて販売費及び一般管理費に入れていても問題にならないことがあります。しかし、工事をしているのに完成工事原価がないのは不自然です。材料費や外注費、現場の人件費などを工事原価に振り分けます。
- 建設業以外の事業もしている建設業と兼業の売上・原価を分ける資材の販売や不動産業などの売上は「兼業事業売上高」として、完成工事高とは別に記載します。資産・負債も、兼業に関するものは内容がわかる科目で記載します(金額が資産総額の5%以下なら、同じ性格の科目に含めてかまいません)。
- 税込か税抜か経営事項審査を受けるなら税抜経審を受けない場合はどちらでもかまいませんが、工事経歴書や工事施工金額も同じ方式でそろえ、注記表に採用した方式を書きます。税込の決算書から税抜の財務諸表を作るには、消費税の計算をし直す必要があります。
- 「その他」にまとめすぎている資産総額の5%を超えるものは、科目を明示する流動資産や固定資産の「その他」に入れたもので、金額が資産総額の5%を超えるものは、内容がわかる科目を立てて記載します。
- 注記表に何を書けばよいかわからない会社の種類で、書く項目が決まっている株式の譲渡制限がある一般的な中小の株式会社なら、重要な会計方針、会計方針の変更、表示方法の変更、誤謬の訂正、株主資本等変動計算書関係、その他などです。該当するものがない項目は「該当なし」と書きます。
個人の場合
個人の場合も、青色申告決算書や収支内訳書をもとに、法人と同じ考え方で勘定科目を組み替えます。ただし、個人の申告書は法人の決算書ほど細かな内訳がないことが多く、完成工事原価の内訳や、貸借対照表の科目を作るために、帳簿や請求書から数字を拾い直すことがあります。白色申告で貸借対照表を作っていない場合は、預金残高や未収入金などから、決算日時点の財産の状態をまとめます。
財務諸表の作成をお任せいただく場合
財務諸表は、毎年の事業年度終了届で必ず作る書類です。当事務所では、税理士が作成した決算書や申告書をお預かりして、建設業の財務諸表への組み替えから、工事経歴書との金額の照合、県への提出まで行います。税込の決算書から税抜の財務諸表への組み替えもお任せください。
財務諸表・事業年度終了届の作成をお任せになりたい方へ
- 事業年度終了届(決算変更届)とは:提出期限・必要書類・報酬(30,000円+消費税)
- 事業年度終了届(決算変更届)の作成ポイント:工事経歴書・工事施工金額との関係
- 工事経歴書の記載方法:作る手順と書く順番
- お電話でのご相談:096-283-6000(ご相談は無料)



