自営業者・個人事業主のうち専門的な技術を持ち熟練を要する仕事でその能力を駆使した労働を伴う技能職人です。
肉体労働を伴う職人を指しますので、個人で設計事務所を経営しており、業務委託契約で仕事をしている場合は1人親方とは呼びません。
1人親方と呼ばれるまでには、労働者として弟子入りし、修業を積み重ね技術を習得した後職人となり、営業能力が備わって一人前の職人となった時に1人親方として独立します。
建設業では、大工工事業・左官工事業・電気通信工事業・しゅんせつ工事業などを営む職人をいいます。
1人親方は労働者ではないので労働基準法や労災保険等は適用されませんが、本人の申し込みにより加入条件を満たせば、労災保険の特別加入ができます。
1人親方をめぐる問題
1人親方は労働者ではないので、通常他人から指揮命令を受けませんが、経験の浅い一部では請負契約を締結したにもかかわらず、労働者と変わらない状態で働いている場合もあります。
そうなると、労災特別加入をしていても、実態が雇用関係にある場合は労働者性が認められ、社会保険の加入が必要となります。
このように、熟練している職人でも現場によって雇用契約・請負契約がはっきりしないことによる、労災適用・偽装請負・所得税未納・社会保険未加入といった問題が発生します。
1人親方が請負人として認められるためには、自分の道具を使用し、自分の責任と判断の元で労働者を指揮し、法律上の責任を負って仕事を完成させなければなりません。
労災保険の特別加入とは
通常労災保険は労働者でない事業主、経営者、役員は適用外となっていますが、一部では業務上の災害や労災補償制度による保護が必要と認められた場合、特別に加入することによって、労災保険の適用を受けることができます。
1人親方に対する税務調査
国税庁は1人親方等の個人事業主を対象に税務調査を実施しています。
所得税法上、請負契約であれば事業所得、雇用契約によるものであれば給与所得となります。その所得区分の判断基準も見直され、より就労形態に重点を置いた調査となりました。
調査することで労働制が強く、雇用契約であると認められた場合は雇用主に対し過去5年分の源泉徴収が命じられる可能性があります。所得増加分に対しては納税しなければなりません。
1人親方等に対する税務調査は今後、ますます徹底される予定であり、保険や経費等の問題で安易に1人親方に移行する考えも慎重に行わなければなりません。